建築学科に行くとどんな仕事ができるのか

受験生にとって自分の進路を決めるということはとても重要なことだと思います。
昔からなりたいものが決まっていて、目標があった人にとっては進路というのは悩むものではないかもしれません。しかしほとんどの人はそうではないと思います。

私も学生の頃に進路を決めるタイミングでは色々悩みました。
いままで部活で忙しかったのに、突然受験になったら進路を決めろと言われても、何から考えればいいのかわかりませんでした。とりあえず、子供の頃になりたかった映画監督とかを口に出すと、
「現実を見なさい。」
みたいなことを親に言われて喧嘩した覚えがあります。

挙げ句の果てには
「真剣に考えろ」とか「後悔のないように考えなさい。」とかいろいろと言われましたが、考える方法がわからなさすぎて、途中から何をすればいいのか分からずに迷走してました。

もし皆さんも同じような経験があれば、それは周りのみんなも悩んでいることなのであまり深く考える必要はないということを知ってもらいたいです。そして少しでもこの記事を参考にしてもらえればと思います。

まず皆さんの持っている建築へのイメージはどんなものでしょうか?
家やビルを作るイメージを持っている人が大半かもしれません。もしくは家のリフォームやリノベーションをイメージする人もいると思います。他には家を売ったり土地を売ったりを想像する人もいるかもしれません。
また安藤忠雄さんや隈研吾さんのように、かっこいい建築を作ることを想像する人もいるかもしれません。

これらのイメージをもう少し細かく考えてみましょう。
例えば家を作るなら、
「家の形だけを考えるのか? それとも耐久性なども考えるのか?」
「組み立てるときの材料とかは誰が考えるんだろう?壁にはどんな素材がいいんだろう?」
「あ、そういえば水道の配管周りも考えるのか?すると電気の配線は?」
「そもそも土地に家を建てる時ってどんな法律があるんだろう?」
「マンションって何人くらいで設計するんだろう?どんなふうに役割分担しているんだろう?」
「安藤忠雄さんみたいになってない建築家って何をやってるんだろう?」

このように建築という言葉がどこからどこまでを指している言葉なのかは意外とはっきりとしません。
自分も最初はさっぱりわかりませんでした。
なのでまずは建築に携わる仕事の全体像を知ることから始めましょう。

建築内での仕事の分類

建築に関する仕事は大きく分けて「意匠」「構造」「設備」の3つに分類できます。

「意匠って何?」と思った方もいるかもしれません。

意匠(いしょう)」という言葉はなかなか聞かないと思いますが、以下のような意味です。

一般には装飾、図案などを意味し、英語のデザインdesignの訳語であるが、デザインという用語は、広く建築や公園のデザインのような造形に関する創作、設計案などを意味する場合にも用いられる

引用元 - コトバンク

建築に限って簡単に言うと、建物の形や色や素材を決めることと言えます。

構造」は建物を物理的に組み立てる役割です。
数学や物理を駆使して耐震性などを考慮した建物を設計します。建築家と協力して仕事をすることもあるでしょう。

設備」は建築物の機械、電気、配管を担当する仕事です。
どんなにデザインが良くても夏暑くて冬に寒いような家に住みたい人はいないはずです。
そのため目立ちはしませんがとても重要な仕事です。

ではそれぞれについて細かくみていきましょう。

「意匠」の仕事 建築士(建築家)

建築学科を卒業することで目指せる仕事で最初に思い浮かぶのはもちろん建築家ですよね。

日本で有名な建築家といえば、東京の表参道ヒルズを設計した安藤忠雄さんや、東京オリンピック2020の会場である新国立競技場を設計した隈研吾さんなどが有名です。建築学科について調べているみなさんであれば、この2名は知っているかもしれません。

建築家は建築関係の仕事の中でも花形と言える仕事です。建築用語では「意匠」という仕事に分類されます。

実は「意匠」の代表であるこの建築家とは正式な職業名ではありません
職業として正式に建築を行う人のことは建築士と呼び、建築士になるには二級建築士か一級建築士の2つの資格のどちらかに合格する必要があります。そして一般的には、一級建築士の資格を持っていてある程度の実績を積んでおり、デザインに凝った設計を行う建築士のことを建築家と呼びますが、明確な基準があるわけではありません。

建築家の仕事はとても華やかで夢がありますよね。
先程ご紹介した安藤忠雄さんについてはインターネットでもいろんな情報を見つけることができるため、知らなかった人は少し調べてみましょう。当サイトでも安藤忠雄さんの建築についてまとめた記事を書いているので良かったらご覧ください。

建築家の仕事

華々しいイメージのある建築家ですが、具体的にはどんな仕事をするのでしょうか?

まず建築家が行う仕事の1つが、建築物を設計することです。
おそらく建物の図面を描いたりすることを想像すると思いますがまさにそれです。
この設計作業によって建築物の形が決まります。

設計作業は建物の形を作ることを想像しがちですが、クライアントがいる場合はクライアントの要望を形にするということでもあります。

たとえば個人のクライアントであれば住宅を設計することになると思います。その場合、子供の人数や依頼者の趣味などを踏まえて住宅を設計する必要があります。車やバイクが好きなクライアントならガレージを作ることを考えるでしょう。

企業がクライアントであればどうでしょうか?
商業施設やビルを設計することになると思います。その場合は大きな建築なので周りの建物の環境に配慮したり、どのようにビルが活用されるかをしっかりと考えなければなります。

設計というとデザインの視点から建築を考えることに目が行きがちですが、
実際はクライアントとのコミュニケーションが重要だったり、世の中から求められているものを感じ取る力も必要になります。

建築士の仕事にはもう1つ重要な仕事がありそれは工事の管理です。
実際に建物を組み立てる工程のことを施工といいますが、職人さんや施工管理技師の方と一緒にこの施工に責任を持つのも建築士の大事な仕事になります。
期限や予算を踏まえて施工を完了させることも非常に重要な仕事なのです。

「構造」の仕事 構造設計者

続いてご紹介するのが構造設計者です。
構造設計者とは、建築物を物理的に組み立てる方法を考える手法だと言えます。

たとえば、柱が1つもない建物は組み立てることができないのは誰にでも想像がつくと思います。
ではどんな建物なら実際に組み立てることができるのでしょうか?
これを考えるのが構造設計者の仕事と言えます。

とはいってもあまりイメージはできないですよね。
ここで2020年のオリンピック会場である新国立競技場の最初の案を出していたザハ・ハディドさんの建築をご紹介します。実はこの人アンビルドの女王と呼ばれていて、技術的に不可能な建築物をたくさん設計していることでも有名です。

その中でも特にぶっ飛んでいるアントワープの公安局の建築をご紹介します。
https://allaboutbelgium.com/havenhuis/

ぱっと見でわかると思いますが、いろいろとぶっ飛んでいます。
そしてこれだけの大きさのものをたったこれだけの柱で支えているのは、まさに構造設計者の仕事の賜物だと言えると思います。

他にも信じられないような構造の建物は存在します。
それがアブダビにあるキャピタルゲートビルです。

ご覧の通り傾いています。
構造設計上はこれでも良いのでしょうが、私は絶対に中に入りたくはありません(笑)

このように、構造設計者の仕事は建築士の設計を実現するために不可欠であり、誇りを持って取り組める仕事です。あまり構造設計の面から建築学科を目指す人は多くないと思いますが、夢のある仕事ですのでぜひ自分の将来の候補として考えてみてください。

「設備」の仕事 建築設備士

「設備」の仕事は「意匠」「構造」に比べ地味なイメージを持たれる方も多いかもしれません。
しかし近年の環境意識の高まりから「設備」の仕事は海外ではとても重要な位置付けになっています。
もしかするとこれから建築学科を目指す皆さんの世代では、環境意識から設備を目指す人もいるのかもしれません。

まず「設備」の仕事についてですが、建築設備(空調・換気・給排水衛生・電気等)の設備について設計をする仕事になります。この仕事を行うためには建築設備士の資格を取得する必要があります。

建築設備士は、電気周りの配線を設計したり、配管周りの設計をしたり、空調設備のダクト設計をしたりします。建築物の血管を作る仕事といってもいいかもしれません。

注目を浴び始めた「環境設備エンジニア」

ここまでの話を聞くと「設備」の仕事は面白くなさそうなイメージを持たれる方もいるかもしれません。
しかし先程ご紹介したように、近年では「環境設備エンジニア」と呼ばれる人たちが活躍してきており、とてもやりがいのある仕事になりつつあります。ここで少しだけ「環境設備エンジニア」についてご紹介します。

まず前提として、現在の世の中ではSDGsなどの影響もあり環境意識が非常に高まっています。残念ながら日本は環境に対する取り組みに関してはかなり遅れてしまっているのですが、世界では環境を考慮したビジネスを行うのが当たり前になったいます。

では環境に配慮した建築を考えるときに「設備」はどのような役割を果たすでしょうか?
たとえば空調の設計により省エネ効率をあげることができるかもしれません。利用する電力を減らすことでエネルギー効率を上げる建築も作れるかもしれません。
今後全世界の都市化に伴いビルなどの大型建築物からのCO2排出量は増えていくと予想されており、環境設備エンジニアの必要性が高まっています。

参考: https://type.jp/et/feature/12246/

日本における建築学科の特徴

日本において建築学科は工学部に所属することが多いです。
つまり工学としての側面が強く、理系の分野と言えるかもしれません。

しかし、面白いことに海外では建築は建築学部として独立していたり芸術の部に入っていたりします。これが建築の面白いところでありわかりにくいところでもあります。

なぜこんなことになっているかというと、建築は捉える方向によって「工学」や「芸術」と捉えることができるからです。他にも「環境」や「都市開発」としての側面も持ち合わせています。
つまり、建築というのは日本では工学として扱われているが、決まった分野に固定できるものではなく、見る側面によって在り方が変わるものだということです。

進路を決める上で少し複雑なイメージを持ったかもしれませんが、心配は入りません。
要は自分がどんな観点で建築を学びたいかということがわかればいいのです。

もしテレビで安藤忠雄さんや隈研吾さんの建築を見て建築学科に興味を持ったのであれば「芸術」の側面から建築を学ぶといいと思います。先に説明した意匠設計を意識した進路になると思います。もし自分の住んでいる町の作りなどに興味を持って建築を学んだのであれば「都市計画」の側面から学べば良いです。他にも夏が暑すぎるから涼しい家を作りたくて興味を持ったのなら「工学」や「環境」の側面から建築を学ぶと良いと思います。

いろんな見方のできる建築だからこそ、自分の好きな方向で学ぶことができるというのが建築の魅力であるとも言えます。

建築学科は忙しいのか

よく建築学科の学生は忙しそうにしています。
建築学科というのは他の学科に比べて忙しいのでしょうか?
建築学科を目指す人からすると知りたい内容ですよね。

まず結論から言うと特別他の学科と比べて忙しいと言うことはありません。
恋愛やバイトに時間を使っている学生も普通にいますし、日常的に忙しいと言うようなことはないでしょう。
おそらくどんな学科を選んだとしても、学科ごとの忙しさがあるので特別忙しいということはありません。

ただし、これまで説明したように建築は工学的な側面と芸術的な側面を持っている学科です。
そのため右脳的な頭の使い方と左脳的な頭の使い方を両方する必要があるため、どちらかが苦手だと時期によってはかなり忙しく感じると思います。

私のイメージでは芸術的な側面に憧れて入ってきた学生が多く、論理的なことだったり計画を立てたりする能力を司る左脳的なことが苦手な学生が多いと感じます。
そういう学生が集まっているからこそ課題の締め切りに遅れる学生が多いのかもしれません(笑)

建築旅行に行く

建築旅行という言葉はあまり聞かないかもしれませんが、建築学科の学生の多くは建築旅行に行くようになります。

建築旅行とは文字通り建築を見に行く旅行です。

授業で習った有名な建築家の建築を実際に見にいくのですが、これがとても勉強になります。
というのも本で読んだり映像で見るだけではわからない、その場所の気候や人通りや県民性や周りの環境を感じ取ることで建築家がどんなことを考えて設計したのかが想像できるからです。

建築旅行にはもちろん建築を見るという目的もありますがそれだけではありません。
花の大学生活ですし、彼女と旅行をしたりグループで旅行をしたりすることも多いのでしょう。
ぜひ楽しい思い出になる建築旅行をやってみてください。(大学生はお金がなく大変ですが。。)

このブログでもおすすめの建築旅行の行き先をまとめているので、よければぜひご覧ください。

建築旅行おすすめ

建築学科を受験する高校生におすすめな大学

どの建築学科が良いのかという話については以下の記事をご覧ください。