「Sansan 神山ラボ OMOYA」
敷地 徳島県名西郡
用途 サテライトオフィスの居住・宿泊
設計監理 吉田 周一郎(Shuichiro Yoshida)/shushi architects
構造設計 高田建築設計室 高田芳久
工務店 山田工務店
写真 鈴木久雄

Sansan 神山ラボ OMOYAは、クラウド名刺管理サービスを展開するSansanのサテライトオフィスとして計画されました。
建築地は、徳島県神山町。
IT企業のイメージとは対峙する自然に囲まれた閑静な山地で、昔ながらの木造住宅が立ち並んでいます。
しかし、知らない方も多いかもしれませんが神山町は決して都会ではないにもかかわらず、多くのIT企業がサテライトオフィスを置く特殊な地域なのです。
神山町は2005年9月に町内全域に光ファイバーを整備するなど、地域創生に力を入れており、企業誘致が可能な環境づくりを進めていました。
そして2010年、最初にサテライトオフィスとして神山町に進出した企業が、「Sansan」です。

本プロジェクトは、築約70年~100年の古民家をコンバージョンしSansanの宿泊・研修棟を新設する計画。
計画敷地内には、既存の母屋,納屋,牛小屋が程よい距離を保ち建っていました。
オフィスとして使われるNAYAとKOYAはすでに整備されており、宿泊・研修棟である築約70年のOMOYAの居住環境を改善し、ワーカーが快適に過ごせるように改修することが求められました。

敷地の特徴としては「OMOYA」「KOYA」「NAYA」の3棟に囲まれた中庭には大きなサクラの木があり、魅力的な場所でしたが、桜の木はOMOYAのキッチン裏に面しその魅力が活かされていませんでした。
また、家の北側に位置する玄関土間は薄暗く、来訪者は西側に駐車して「KOYA」と「OMOYA」の間を通り抜けてキッチンの勝手口からアプローチするため玄関の役割を失っていました。

そこで、キッチンスペースを新しいミーティングスペースへと改装しました。

ミーティングスペースの窓からは大きな桜の木が切り取られ、非日常空間に。

新しいOMOYAの玄関をKOYAとNAYAに繋がる中庭の桜テラスに開いた空間とし、玄関土間を新しい土間キッチンとすることで、滞在者にとって魅力的な居場所となるよう役割の交換を行いました。

また、階段を東側の3畳寝室に納め、廊下や南寝室の壁を取り払い、単純な田の字型の平面へと再構成しました。
西側の和室は垂れ壁で仕切られており、ふすまを用いて南北それぞれが独立した寝室としても、建物内部全体がひと繋がりの座敷としても使えるよう計画されています。

建築が土間キッチン・ダイニング・和室を調理・食事から研修スペースへと、一体となる居場所として生まれ変わりました。
Sansanの神山進出に続き、現在では古民家利用を含めて15社以上が神山にオフィスを持っています。
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▸構造概要
既存古民家は束たて柱と竹木舞土壁に梁・屋根が乗る古典的な軸組造で、現代の構造用合板や筋交いによる硬い構造と違って、柔らかい構造となっています。
この柔らかい構造のすべてを硬い構造に更新するのでなく、計画上取り除いた壁量分の柔らかい性質の耐力壁を足すことで、全体として柔らかいまま地震に耐える考え方の構造としました。
新しく付け加える耐力壁は「荒壁パネル工法」という木の組子下地に、パネルと左官土壁塗を組みあわせて法認定を取ったものです。
▸設計
吉田 周一郎/shushi architects
https://shushi.tokyo/
▸Sansan

Sansan株式会社は、法人向け及び個人向けの名刺管理サービスを提供する日本の株式会社。2018年現在、法人向け名刺管理サービスの「Sansan」は、国内市場において導入企業7000社、シェア82%。

https://jp.corp-sansan.com/