今までは戸建て住宅業界の大きなくくりとして、「注文住宅」と「建売住宅」に二分化されることが多かったと思います。
しかし近年、新しい勢力として「規格住宅」の波が押し寄せています。

注文住宅

注文住宅の中でも、設計事務所やデザイン自由度の高い工務店のように、一から要望を聞きながら敷地に合わせて個々に設計を行う完全自由設計を行う会社と、ある程度規格化をした空間を組み合わせたり、建物形状は決まっていて内装の仕上げ材だけを変更する準自由設計(勝手に名前つけました。笑)を行う会社に大まかに分けることが出来ると思います。
個人的には、内装だけ変更可能な住宅を注文住宅と呼ぶのは少し違和感があるのですが、
世の中的には注文できるという点で、注文住宅と呼ぶことも多いです。
 
このような注文できる家づくりと対照的なのが、すでに建ててある家を購入する形式の「建売住宅」です。

建売住宅

すでに完成しているため、購入する物件の中を見て、納得してから購入に進めるのが利点です。
一般的には、建売住宅はエンドユーザーさんとの打ち合わせが必要ないので、コストを削減することができ、安く家を手に入れることが出来ます。
そのため建売住宅は、家を安く求める層が集まるので、ローコスト住宅と呼ばれる性能よりも低価格をコンセプトにした家が多いです。
 
このように、少し前までの住宅業界は注文住宅は低価格~高価格の家づくり、建売住宅は超低価格の家づくりといったように、線引きが明確でした。
しかし近年、建築家や設計士が考え抜いたベストなプランを規格化し、同じものを売る規格住宅を供給する会社が増えてきました。

規格住宅

規格住宅では、間取りや仕様を規格化し、その規格の範囲内で建てる家のことです。
どれくらい規格化してあるかは会社によって大きく異なり、構造材や建具の仕様を標準化する程度の規格化住宅もありますが、
全ての部材を規格化し、間取りも固定することで、ユーザーは買うか買わないかの二択まで規格化している会社もあります。
従来までは、規格住宅はほとんど選択の余地がなく、価値が感じにくいものだという認識があったと思います。
そのため、注文住宅のローコスト住宅の一種として見かける程度でした。
しかし、近年規格住宅の需要が急上昇しています。
それも、今までのローコストの規格住宅ではなく、中~高価格帯の注文住宅並みの程度デザインや性能を有する規格住宅の需要が向上しています。

なぜ規格住宅需要が上昇しているのか

なぜ、近年規格住宅の需要が上昇しているのかというと、
大きな点としてオーダーする価値よりも、すでに規格化されて洗練された低価格のものを選ぶ価値が求められる時代になったからだと思います。

ユニクロにしろ、無印良品にしろ、徹底的に規格化・効率化を図ることで、高品質なものが安価で手に入る時代となりました。

それが住宅業界にも大きな波として流れてくるのが、来年令和2年だといわれています。
(建築業界は何でもトレンドが伝わるのが遅い。。。)

ということで、これからは規格住宅の開発競争になりそうですね!
個人的に規格住宅としてこれからもっと伸びるだろうなと思うのは、無印良品の家です。


はじめは生活雑貨メーカーが自社の商品を使った家づくりを展開しているだけのサービスだと思っていましたが、いざ見てみると、すごく良い家だと思いました。
まさにお手本のようです。
どこがすごいかというと、僕が思うに6つポイントがあります。

①様々な式に対応できる。

多くの規格化住宅は、間取りが固定されています。
ただ、接道の向きが東西南北で異なるので、その4方向に適応した玄関配置4パターンを用意しているところが多いです。
そうすると、その規格がはまらない敷地には適応することが出来ないので、建てられる地域や敷地が限られてしまいます。
無印良品の家の場合、0.5間ごとに縦と横の長さを変更できる仕組みをとっているので、より多くの敷地に対応することが可能です。

②耐震性能が優れている

耐震性能については、規格住宅になるとどうしても価格を抑えるために在来工法を用いることが多いです。
在来工法はもちろん一般的に用いられ、最も採用されている工法なので悪いものではありませんが、耐震性能3を実現しようとすると多くの柱や梁が必要となり、価格を抑えようとすると部材を減らすことになるので耐震性能が下がってしまいます。
また、広々とした空間を作りたい場合、こちらも部材を極力減らす方向となるので耐震性能が下がってしまいます。
そこで、無印良品の家では「SE工法」を採用しています。
SE工法は木造でありながら、接合部に特殊な金物を用いることで鉄骨造のような構造を可能にする構造です。
これにより、耐震性能3を実現させています。

③温熱性能に優れている

断熱性能や気密性能もしっかりと担保しているのには驚きました。
住宅の断熱性能を測る指標としてはUa値(外皮平均熱貫流率)が使われることが多いですが、その値が0.42となっていました。(2019年調べ)
これは一般のハウスメーカーと同等レベルといっても過言ではないと思います。
(一条工務店さんは異常ですが。)
トリプルガラスを使い、付加断熱をしていると書いてあったので、だいぶ性能には力を入れているのだと思います。

④可変性が考えられている

これはSE工法による恩恵が大きいですが、無柱空間を実現することが可能なので、無駄に壁で空間を仕切ることなく内部構成が計画されています。
これにより、数年後間取りを変更したくなっても簡単に内部計画を変えることが出来ます。

⑤自然素材を活かす家づくり

今まで規格住宅が得意な大手ハウスメーカーなどは、扱いの難しい自然素材はクレームのもとになるため取り扱いを嫌厭してきました。
そのためほとんどの規格住宅が、自然の風味をあきらめて人工的に品質の変化しにくい素材ばかりの家でした。
しかし、無印良品の家の場合、自然素材をふんだんに使い、無印にしか作れない形を作り上げています。

⑥価格がちょうどいい

最後に、これが一番すごいことだと思いますが、これまで述べてきたすごい部分を実現しながら、価格がそこまで高くないことです。
ここまでの性能の家を作ろうとするとどうしても価格が上がってしまいそうですが、無印は規格化することで普及価格帯まで価格を落としています。
 


規格住宅は数が出れば出るほど安く供給できる仕組みになるので、より早くシェアを獲得した会社が今後どんどん伸びていくと思います。
これから規格住宅開発ラッシュが訪れるのを楽しみにしています。